※本ブログの情報は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本」をもとにしています。
はじめに
本ブログでは、普段ワインを飲まない方が楽しく飲めるきっかけになるような情報を発信していきたいと思います。
今回は、ワインに使用される黒ブドウ品種「シラー」と「シラーズ」の違いについてご紹介したいと思います。ワインを普段飲まない方は、ブドウ品種からワインを選ぶ事も一つの選択肢ですね。以前、本ブログでは、ワインに使用する黒ブドウ品種についてご紹介しました。
今回は、「シラー」と「シラーズ」についてです。名前が似た2つの品種、一緒のものなのか?それとも全く別の品種なのか? 解説したいと思います。
「シラー」はフランス・ローヌ地方原産と言われる
「シラー」はフランスのコート・デュ・ローヌ地方を原産地とする赤ワイン用のブドウ品種です。ローヌ地方はフランスでは南部に位置していますが、冬はかなり寒い事でも有名です。こちらも以前ご紹介しましたが、ワインを知る上で「緯度」はかなり重要です。気候の違いによって育てやすいブドウ、育てにくいブドウがあるという事ですね。
ローヌ地方の「シラー」でつくられるワインは風味が特徴的で、よく「生肉」や「血」の匂いがすると言われます。ソムリエ・ワインエキスパート資格の二次試験でも出題される事がありますが、シラーは特徴を掴みやすいワインかと思います。
「シラー」が海を渡って「シラーズ」として呼ばれるように
ワイン造りをリードしてきたフランス。各国がフランスをお手本として、フランスで育てられているワイン用ブドウ品種を導入し、ワイン造りを行っていきます。その中で、「シラー」に着目したのは「オーストラリア」の生産者達でした。
オーストラリアの気候に適応し、「シラー」は独自の進化を遂げます。オーストラリア産シラーで造られるワインは、ローヌ地方のワインのような香りや味と異なる独自のワインとして発展します。ローヌとオーストラリアでは気候条件が大きく異なるため、このような違いが生まれてきたわけです。
そういった経緯もあり、「シラー」はオーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれるようになりました。ローヌ産のシラーワインで感じられる「生肉」や「血」の香りはオーストラリアのシラーズ産ワインではあまり感じられず、どちらかというとスパイシーな黒コショウのようなニュアンスが感じられます。
最後に
元々は起源が同じながらも、気候条件の違いから異なる特徴のワインが造られていることが面白いですね。「シラー」と「シラーズ」、是非とも機会があれば飲み比べてみましょう。