※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2018)」をもとにしています。
ソムリエ・ワインエキスパート試験対策
本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。
今回はコート・デュ・ローヌです。ローヌ地方はAOCワイン生産量2位(2017年実績)の規模を誇ります。14世紀にローマ法王が南ローヌの都市・「アヴィニョン」に法王庁を移転した過去があり、その周辺でワイン栽培が行われました。そこから生まれたAOCシャトー・ヌフ・デュ・パプ(法王の新しい城)はソムリエ試験でも出題されるポイントですのでチェックしましょう。
コート・デュ・ローヌ地方のポイント
コート・デュ・ローヌ地方は北部と南部で様相が異なります。北部は半大陸性気候、南部は地中海性気候に大別され、「ミストラル」と呼ばれる北風が特徴です。覚える際は北ローヌと南ローヌに分けて考えましょう。
北ローヌと南ローヌに分けて理解する
各AOCの生産色を覚える
南ローヌは、ヴァン・ド・ナチュレ(V.D.N)を合わせて覚える ※後述します
北ローヌはブドウ品種が限られており、シラーを中心とした赤ワインが有名です。一方、南ローヌでは、グルナッシュを中心としたブレンドの文化となります。北ローヌと南ローヌを分けて理解することで、とても分かりやすくなります。
他の地域と同じようにAOCで生産が認められている生産色とブドウ品種をチェックしていきましょう。
北ローヌ
ブドウ品種
北ローヌのブドウ品種は非常にシンプルです。シンプルだけに生産色とブドウ品種は出題される事が多いです。
黒ブドウ
・シラー
→シラーだけで大丈夫でしょう。
白ブドウ
・ヴィオニエ
・ルーサンヌ
・マルサンヌ
→北部は主に3種類だけ覚えましょう。AOC白ワインに用いられるブドウ品種が問われることがあります。
覚えるべきAOCワイン
・コート・ロティ(赤のみ)
→「焼け焦げた丘」という意味のAOC。シラーは80%以上含まれている必要があります。また、ヴィオニエは20%まで混醸できます。
・コルナス(赤のみ)
→シラー100%
・コンドリュー(白のみ)
→ヴィオニエ100%
・シャトー・グリエ(白のみ)
→ヴィオニエ100%。1936年、ローヌ渓谷で最初に認定されたAOCの一つ。一軒の生産者(ピノー家)が単独の所有者です。
・サン・ペレイ(白、発泡白)
→ルーサンヌとマルサンヌから造られる
・サン・ジョセフ(赤・白)
→赤ワインはシラー。白ワインはルーサンヌ・マルサンヌ
・エルミタージュ(赤・白・ヴァン・ド・パイユ)
→北ローヌといえばココというAOCワイン。赤ワインはシラー85%以上(ルーサンヌ・マルサンヌは15%まで混醸OK)。白ワインはルーサンヌ・マルサンヌから造られます。また、ジュラ地方でも紹介したヴァン・ド・パイユ(藁ワイン)が生産されています。
・クローズ・エルミタージュ(赤・白)
→ルールとしてはエルミタージュと同じです。ヴァン・ド・パイユは生産されていません。
・クレレット・ド・ディー(白発泡・ロぜ)
・クレマン・ド・ディー(白発泡)
・コトー・ド・ディー(白)
・シャティヨン・アン・ディオア(赤・ロゼ・白)
→生産色に目を通すぐらいでいいような気もします。シャティヨン・アン・ディオアは、赤・ロゼはガメイ、白はアリゴテ・シャルドネを利用したこの地域では珍しいAOCです。
南ローヌ
南部はブドウ品種が非常に多様で、複数のブドウ品種を混醸またはブレンドしてワインを生み出します。また、土壌が特徴的で、丸い小石のような土壌が特徴的です。
ブドウ品種
黒ブドウ
グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル、サンソーなど。
白ブドウ
グルナッシュ・ブラン、ルーサンヌ、マルサンヌなど。
グルナッシュを中心にたくさんの種類のブドウ品種が栽培されているんだな、というイメージでまずは大丈夫かと思います。
ヴァン・ド・ナチュレ(V.D.N)
南ローヌの一部のAOCで生産されている「天然甘口ワイン」です。通常はアルコール発酵によって、酵母が糖分を分解してアルコールに変えていくわけです。ところが、V.D.Nの場合は、発酵の途中でアルコールを加えることでアルコール発酵を強制的に止める製法です。これにより、ワイン中に糖分が残るので甘みの残るワインが出来上がります。注意しなければならないのは、AOCによってV.D.Nとそれ以外の生産色が違うことです。しっかり注意して覚えましょう。
覚えるべきAOC
ブドウ品種はあまりに多様であるため、試験で問われるとすれば一部を除き「生産色」が多いのではないでしょうか?ここでは、生産色でまとめて紹介したいと思います。
ロゼのみ
・タヴェル(ロゼのみ)
→ロゼのみのAOCなので頻出ポイントです。1936年に認められたAOCの一つで、フランスのロゼAOC産地の中では最も早く認められたAOCです。
赤のみ
・ヴァンソーブル(赤のみ)
→主にグルナッシュとシラーから造られます。タヴェルと同様、生産色を問われやすいAOCです。
赤・ロゼ
・ジゴンダス(赤・ロゼ)
→グルナッシュを主体とした赤とロゼが造られます。こちらも出題されやすいポイントです。
白のみ
・クレレット・ド・ベルガルド(白のみ)
→白ブドウのクレレットから造られる白ワイン
赤・白
・ケランヌ(赤・白)※2016年AOCに昇格
・シャトー・ヌフ・デュ・パプ(赤・白)
→「法王の新しい城」という南ローヌを代表とするAOC。グルナッシュ・シラー・ルーサンヌなど「13種類のブドウ品種」が認められています。ミストラルという北風が吹く地域で、小石が日中の熱を蓄えて夜間にブドウを暖めてくれる環境です。過去に出題されていたのは、13種類の中にマルサンヌは認められていない為、ルーサンヌはいいけどマルサンヌはダメという問題が頻出されていました。余裕があれば13種類のブドウ品種を覚えた方がいいかもしれませんが、少なくともマルサンヌはダメという事だけは覚えておいてください。
V.D.Nが認められているAOC
・ラストー(V.D.N、赤)
・ボーム・ド・ヴニーズ(V.D.N、赤のみ)
→要注意ポイントです。V.D.Nと通常ワインの生産色(赤のみ)をセットで覚えておきましょう。
赤・白・ロゼ
・グリニャン・レ・ザデマール(赤・ロゼ・白)
・コート・デュ・ヴィヴァレ(赤・ロゼ・白)
・ヴァケイラス(赤・ロゼ・白)
・リラック(赤・ロゼ・白)
・ヴァントー(赤・ロゼ・白)
・リュベロン(赤・ロゼ・白)
・デュシェ・デュゼス(赤・ロゼ・白)
・コスティーエール・ド・ニーム(赤・ロゼ・白)
→私の場合、(赤・白・ロゼ)は「なんとなく」で覚えました。全部丸暗記しないといけないわけではないので、イメージで覚えていきましょう。
第11回小テスト:コート・デュ・ローヌ地方
第11回:フランス・コート・デュ・ローヌ地方
第11回:フランス・コート・デュ・ローヌ地方

最後に
ローヌはAOCの生産量がフランス2位とワイン産地としても非常に盛んな地域ですので、是非ともチェックしておきましょう。ご紹介したように北ローヌと南ローヌで覚えるポイントが変わってきますので、注意しましょう。
ここまで覚えてくれば、かなりフランスのワインに詳しくなってきたのではないでしょうか。ブルゴーニュ地方がまだ残っていますが、ここまで覚えてきた事は自信にもつながってきますので、問題を解きながら少しずつ覚えていきましょう。
(参考)ソムリエ・フォー・フリー コート・デュ・ローヌ地方
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