【ソムリエ・ワインエキスパート試験/対策問題】第32回:スペイン② 北部地方、大西洋地方

※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2020)」をもとにしています。

ソムリエ・ワインエキスパート試験対策

 

本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。

 

今回はスペインの北部地方と大西洋地方です。北部地方には2つのD.O.Caの内の1つである「D.O.Ca リオハ」が造られていますね。また、大西洋地方、ガルシア州でも幾つかチェックしておきたいD.O.ワインがありますので、覚えていきましょう。

 

スペイン  1.北部地方と2.大西洋地方

 

北部地方でまず覚えたいのは「リオハD.O.Ca」です。リオハという名前からラ・リオハ州だけだと誤解されやすいですが、実はラ・リオハ州、バスク州アラバ県、ナバーラ州の3州にまたがっていま。まず「リオハ D.O.Ca」について紹介し、その後各州のD.O.ワインについてご紹介します。

 

また、大西洋地方では、幾つかD.O.ワイン名の由来とセットで覚えるべきワインがありますので、こちらも北部地方の後にご紹介します。

 

なお、カンタブリア州とアストュリアス州は少量ですが、ワインが生産されています。しかしながら、ソムリエ教本では数行の紹介にとどまり、試験でも出題はされないと思います。

 

①北部地方 「リオハD.O.Ca.」

リオハD.O.Ca.の概要

1991年にスペインで最初に特選原産地呼称D.O.Ca.に認定されたワインです。D.O.Ca.は未だに2つ(もう一つは地中海地方のプリオラート)しか認められていないので、スペインでも特別なワインである事がわかります。

 

ラ・リオハ州、バスク州アラバ県、ナバーラ州の3州にまたがっており、テンプラニーリョというスペインを代表するブドウ品種を主体として造られます。名前の由来は、この産地を西から東へ流れるエブロ川の支流であるオハ川が縮まったものだそうです。

 

19世紀後半にフランスのブドウ畑がフィロキセラ(アブラムシの一種)によって壊滅状態に陥った際、フランスから生産者が移住してブドウ栽培、ワイン醸造を始めたことで、醸造技術が一気に高まったとされています。

 

リオハはオークの小樽で熟成させる事が有名ですが、リオハに小樽熟成を伝えたのはフランス人でなく、フランスのボルドーに留学した「リスカル侯爵」といわれています。

 

リオハD.O.Ca.のサブゾーン

リオハは3つのサブゾーンが存在し、造られるワインにも特徴の違いがみられます。過去にも地図問題含めて出題されているので要チェックです。3つのサブゾーンの位置関係は必ずおさえておきましょう。

 

サブゾーン1.「リオハ・アルタ」

リオハ全栽培面積の約50%を占めます。エブロ川上流(アルタ)、最も西部にあるラ・リオハ州に属し、高い酸度を持つ熟成向きの赤ワインが造られます。

 

サブゾーン2.「リオハ・アラベサ」

エブロ川左岸のバスク州アラバ県に属し、若飲みタイプから熟成向きまで様々な赤ワインが造られます。

 

サブゾーン3.「リオハ・オリエンタル」

2018年に「リオハ・バハ」から改名されました。エブロ川下流(バハ)の両岸の平地にあり、他の2地域に比べて地中海性気候の影響受け、気温も高めで乾燥しています。ガルナッチャの栽培が多く、アルコール濃度の高い赤ワインとロゼワインが造られます。

 

①北部地方 「ナバーラ州のD.O」

ナバーラ州は1950年代にロゼワインの輸出が成功したため、ロゼワインの産地として認知されるようになりました。赤ワインはリオハの陰に隠れた存在でしたが、1980年代から国際市場でも認められるワインを造ろうと、ボルドー系の外来品種を取り入れたり、外来品種と在来品種をブレンドしたりと、積極的にワインの品質向上を意識しています。1つのD.O.と3つのV.P.(ヴィノ・デ・パゴ)があります。

 

D.O.ナバーラ

5つのサブゾーンがあります。(覚えたい場合はソムリエ教本をチェックしてください)テンプラニーリョ(在来品種)とカベルネ・ソーヴィニョン(外来品種)をブレンドした「ナバーラ・ブレンド」や、単一品種表示ワインの販売も大きな成功を収めています。

 

 

①北部地方 「アラゴン州のD.O」

4つのD.O.と1つのV.P.(ヴィノ・デ・パゴ)があります。著名な画家、フランシスコ・ゴヤの出身地だそうです。ソムリエ・ワインエキスパート試験的に出題されやすいキャッチーなキーワードもありますので、目を通しておきましょう。

 

D.O. カンポ・デ・ボルハ

栽培面積の70%近くをガルナッチャが占め、「ガルナッチャ王国」と称される(そうです)。

 

D.O. カリニェナ

黒ブドウ品種・カリニェナの原産地と言われています。カニニェナは、フランスでは「カリニャン」、スペイン・カタルーニャでは「サムソ」、それ以外のスペイン国内では「マスエロ」ともいわれます。しかしながら、現在ではカリニェナの栽培量は少なく、ガルナッチャが多いそうです。

 

D.O. カラタユド

イスラム教徒の城「カラト・アユブ」に由来します。

 

D.O. ソモンターノ

山麓」という意味があるソモンターノは、北部のピレネー山脈の麓で造られています。国際市場を意識し、地元品種だけでなく外来品種も取り入れた多種多様な品種が認められています。

 

 

①北部地方 「バスク州のD.O」

スペインの中で経済が最も発展し、EU圏内でも高いGDPを誇る地域です。フランコ独裁政権下の弾圧の歴史から、スペインからの独立機運が強いようです。※カタルーニャ州もそうですが、スペイン東部はそういった動きがある地域が多いですね。

 

バスク地方の要チェックポイントは「チャコリ」です。リオハD.O.Ca.を除くと、3つのチャコリのD.O.が認められています。チャコリは、微発泡性でごく辛口、酸味が強く、アルコール度数が低いワインで、主に食前酒として飲まれているワインです。※高い所からグラスに注いでいる写真をご覧になったことがあるかもしれません

 

他の地域でも造られていますが、バスク地方に3つのD.O.が集中していますので、「バスク地方といえばチャコリ」というのを覚えておきましょう。

 

D.O.チャコリ・デ・ゲタリア(ゲタリアコ・チャコリ-ナ)

D.O.チャコリ・デ・ビスカイア(ビスカイコ・チャコリ-ナ)

D.O.チャコリ・デ・アルバ(アラバコ・チャコリ-ナ)

 

②大西洋地方 「ガリシア州のD.O」

大西洋が近く、漁業が盛んな地域です。5つのD.O.が認められています。

 

D.O. リアス・バイシャス

カリシア州を代表するD.O.ワインです。リアスは「入り江」、バイシャスは「下部・南部」というガリシア語の意味があります。大西洋沿いの地域であるため、年間降水量が1600mmとスペインの中では多いです。5つのサブゾーンに分かれます。(覚えたい場合はソムリエ教本をチェック)

 

栽培ブドウの約96%はアルバリーリョというブドウ品種です。ブドウ品種は要チェックです。

 

湿度が高いため、棚式栽培が中心でしたが、最近では垣根仕立ても増えている地域で、近年ではアメリカなどへの輸出が盛んになってきています。

 

D.O. バルデオラス

黄金の谷」という意味をもつD.O.ワインで、ガリシア州の中では内陸に位置します。栽培品種は黒ブドウ・白ブドウともにガリシアの地元品種です。

 

D.O. リベイラ・サクラ

聖なる川岸」という意味をもつD.O.ワインで、昔多くあった修道院を中心にワイン造りが行われてきた歴史があります。栽培品種はガリシアの地元品種です。

 

D.O. モンテレイ

ガリシア州最南部にあり、ポルトガルとの国境沿いに位置します。栽培品種はガリシアの地元品種です。

 

D.O. リベイロ

D.O. リベイラ・サクラと同様、修道院を中心にワイン造りが行われてきた歴史があり、白ワインが生産量の85%を占めます。ブドウを屋内で吊るし、乾燥させて、その果汁を発酵して造る甘口の「トスタド」はこの地域の特産です。

 

第32回小テスト:スペイン② 北部地方、大西洋地方

 

第32回:スペイン② 北部地方、大西洋地方

第32回:スペイン② 北部地方、大西洋地方

 

最後に

 

北部地方はまずリオハ(サブゾーン含む)を覚えておきましょう。その他のD.Oワインは、覚えるポイントをご自身で判断してチェックしていきましょう。何度も言いますが、ソムリエ・ワインエキスパート試験では満点を目指す必要はありません。覚えるべき重要ポイントをしっかり判断して、取捨選択しながら、問題を解きながら記憶していく事が重要です。

 

 

(参考)ソムリエフォーフリー

 

 

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