※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2020)」をもとにしています。
ソムリエ・ワインエキスパート試験対策
本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。
今回は南部地方とバレアレス諸島、カナリア諸島です。南部地方はスペインの重要ポイントの一つ、「D.O.シェリー」を覚えておきましょう。バレアレス諸島とカナリア諸島はまずは飛ばしてもいいかもしれません。
ちなみに、私は2018年(テストセンター移行1年目)の一次試験で以下の問題が出て間違えた経験があります。
スペイン 5.南部地方と諸島
スペインの南部地方とは基本的には「アンダルシア州」の事を指します。確か「アンダルシア」という映画がありましたよね。以前にもイタリアとサッカーチームを結び付けて覚えるというお話をしましたが、ご自身の趣味と合わせて覚えていくと忘れないのおススメです。
また、バレアレス諸島は上部の地図にあるように地中海に浮かぶ島々です。もう一つの諸島・カナリア諸島は上部の地図では確認できないんですが、アフリカ大陸・モロッコの西、大西洋に浮かぶ島々です。
まずは、ソムリエ・ワインエキスパート試験的にも重要な「アンダルシア州のシェリー」を勉強しましょう。
D.O.シェリー
概要
正式名称は「へレス・ケレス・シェリー・イ・マンサリーニャ・サンルーカル・デ・バラメーダ」です。以下の3つのカテゴリがあります。
・ビノ・ヘネロソ(辛口)
・ビノ・ヘネロソ・デ・リコール(辛口にごく甘口をブレンド)
・ビノ・ドゥルセ・ナトゥラル(ごく甘口)
気候風土
大西洋から吹く低温高湿の「ポニエンテ」という風と、内陸から吹く高温低湿の「レバテ」という風がブドウの成熟、ワインの熟成に影響しています。また、「アルバリサ」という炭酸カルシウムの含有量が高い真っ白な土壌が水分保持力が高いので、夏にブドウの根に水分を供給する事ができるそうです。この3つのキーワードも要チェックです。
主要品種
重要ポイントです。ブドウ品種は以下の白ブドウ3品種です。決して、「D.O.カバ」の主要3品種と間違えないようにしてくださいね。※覚えていない方は過去記事(スペイン②:内陸部地方、地中海地方)にて確認しましょう。
・パロミノ(全体の95%を占め、すべての辛口タイプが造られる)
・ペドロ・ヒメネス(ごく甘口用)
・モスカテル(ごく甘口用)
製法
こちらも重要ポイントです。まず白ワインを造り、アメリカンオーク樽で熟成します。するとフロールという産膜酵母が発生し、独特の風味がついた酸化熟成されたワインができます。600Lのアメリカン・オーク材の樽を使用します。最低熟成期間は2年ですが、伝統的には3年熟成されます。
熟成はクリアデラとソレラのシステムで行われます。ソブレタブラと呼ばれる新しい樽の中からワインを取り出し、少しずつ樽を移し替える事によって熟成を進めていきます。また、ソレラに分配することを「ロシオ」、ソレラから出荷用の瓶に集めることを「サカ」と呼びます。
このシステムは、「ソムリエフォーフリー」という素晴らしい動画サイトで丁寧に紹介されていますので、こちらを見ていただいた方が理解が進むかと思います。
(参考)ソムリエフォーフリー
タイプ1.ビノ・ヘネロソ(辛口)
フィノ
最も一般的なタイプです。軽く、色は薄く、すっきりときわめてドライ。アルコール度数は15~18度。
マンサリーニャ
「サンルーカル・デ・バラメーダ」で熟成されるフィノの事を特別にマンサリーニャと呼びます。塩気を感じます。アルコール度数は15~19度。
アモンティリャード
フロールのもとで熟成した後、酸化熟成したものです。琥珀色。アルコール度数は16~22度。
オロロソ
ワインに(17度まで)アルコールを添加し、酸化させたものです。フロールが無い状態で樽熟成させます。琥珀色からマホガニー色。アルコール度数は17~22度。
パロ・コルタド
ごく短期間だけフロールのもとにあった、酸化熟成したタイプです。アモンティリャードの香りとオロロソのボディをもつ希少な酸化熟成タイプです。アルコール度数は17~22度。
タイプ2.ビノ・ヘネロソ・デ・リコール(辛口にごく甘口をブレンド)
ドライ
フロールのもとで熟成したワインをベースにしており、その特性を持つ軽い淡い黄色から金色の甘口タイプです。残糖度5~45 g/L。アルコール度数は15~22度。
ペイル・クリーム
ドライよりも残糖度が高い、淡い黄色から淡い金色の甘口タイプです。残糖度45~115 g/L。アルコール度数は15.5~22度。
ミデュアム
琥珀色からマホガニー色の、甘口タイプです。残糖度5~115 g/L。アルコール度数は15.5~22度。
クリーム
濃い琥珀色からマホガニー色の、甘口タイプです。残糖度115~140 g/L。アルコール度数は15.5~22度。
タイプ3.ビノ・ドゥルセ・ナトゥラル(ごく甘口)
モスカテル
過熟、もしくは天日干ししたモスカテル種を85%以上使用。大変甘いです。残糖度160 g/L以上。アルコール度数は15~22度。
ペドロ・ヒメネス
過熟、もしくは天日干ししたペドロ・ヒメネス種を85%以上使用。大変甘いです。残糖度212 g/L以上。アルコール度数は15~22度。
説明を見てどのタイプかを選択できるようにしてください。タイプはソムリエ・ワインエキスパート試験頻出ポイントですので、是非ともチェックしておきましょう。
特別表示
VOS(ヴェリー・オールド・シェリー)
熟成20年以上のシェリーには、VOSという認定シールを貼り付けることができます。
VORS(ヴェリー・オールド・レア・シェリー)
熟成30年以上のシェリーには、VORSという認定シールを貼り付けることができます。
熟成年数表記シェリー(ヴィノス・デ・へレス・コン・インディカシオン・デ・エダド)
VOSやVORS程ではないですが、12年もしくは15年熟成について認定されています。
シングル・ヴィンテージ・シェリー「アニャダ」
クリアデラ、ソレラのシステムを使わず、単一収穫年のワインを同じ樽で長期間熟成したシェリーです。
④南部地方 「アンダルシア州」
シェリーを含めて5つのD.O.が認定されているアンダルシア州。正直なところ、シェリー以外はそこまで出題される可能性は高くないですが、念のためざっと目を通しておきましょう。記憶するというよりは、シェリーのような酒精強化ワインも造られているんだな、というニュアンスで見るぐらいでいいのではないかと思います。
D.O.マラガ
英国でシェークスピア時代に「サック」といわれてもてはやされたワインの一つです。シェリーのように酒精強化するものもあります。
D.O.シエラス・デ・マラガ
シエラとは「連峰」という意味です。
D.O.モンティーリャ・モリーレス
土壌はシェリーと同じく石灰質の「アルバリサ」。寒暖差が激しく糖度の高いブドウができるため、自然にアルコールが15%以上となり、酒精強化の必要がない。それをもとにして、シェリーと同じようにワインが造られます。
⑤諸島1「バレアレス諸島」
ローマ帝国の植民地時代からブドウ栽培とワイン造りが行われていた歴史があります。実は2つD.O.があります。余裕があればざっくりと覚えるぐらいの認識で大丈夫です。※私は捨てましたが、その結果出題されました・・・
・D.O.ビニサレム・マヨルカ
・D.O.プラ・イ・リェバン
⑥諸島2「カナリア諸島」
スペイン本土から1000kmも離れた大西洋のモロッコ沖約100kmに浮かぶ7つの島です。カナリアの語源は、ローマ人によってグラン・カナリア島が「犬の島」と呼ばれたことにあるといわれています。鳥のカナリアの原産地でもあるそうです。実は10つのD.O.が認められています。本記事ではキャッチーなワードが掲載されているD.O.のみ紹介しておきます。※ここは捨ててもいいかも・・・
・D.O.ランサローテ:地表が火山灰に覆われているので、穴を掘ってブドウを埋める独特の栽培方法を取る
・D.O.ラ・パルマ:「かわいい島」と呼ばれている
・D.O.バリェ・デ・ラ・オロタバ:コルドン・トレンサドという細長く伸ばした母枝をお下げ髪のように束ねた独特の栽培方法
バレアレス諸島2つをなんとなく覚えて、それ以外はもしかしてカナリア諸島かな?ぐらいでいいかもしれないですね。余裕がなければ全て捨てて消去法で当てるという判断もありかもしれません。
第34回小テスト:スペイン④ 南部地方、諸島
第34回:スペイン④ 南部地方、諸島
第34回:スペイン④ 南部地方、諸島

最後に
今回は、まずシェリーのタイプや製法をしっかりと覚えて、後はおまけで目を通すというぐらいで結構ではないかと思います。何度も言いますが、ソムリエ・ワインエキスパート試験は自分の記憶キャパシティを判断して取捨選択をする事が大事です。私の場合、スペインではシェリー以外の南部地方・諸島と、ヴィノス・デ・パゴは流し見程度でした。割り切ることも大事ですので、まず基本をおさえて、余裕があれば細部に目を通していくようなイメージで勉強していきましょう。
(参考)ソムリエフォーフリー
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