※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2020)」をもとにしています。
ソムリエ・ワインエキスパート試験対策
本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。
今回はアメリカ合衆国です。アメリカ合衆国はワインの消費量としては世界第1位(しかも増加傾向)と、国際ワイン市場における最重要消費国となっています。アメリカでは全ての州でワイン造りが行われていますが、チェックすべき州としてはカリフォルニア州など5つの州をおさえてください。
アメリカのポイント
・覚えるべき5つの州(カルフォルニア、ワシントン、オレゴン、ニューヨーク、ヴァージニア)を抑える
・各州の代表的なブドウ品種をチェックする
・ワインの産地、収穫手、品種表示規定をチェックする(〇%、〇%と細かいのが結構出てきます)
全州で造られていますが、覚えるのは5州(東海岸と西海岸)のみで大丈夫です。特にカリフォルニア州は全生産量の80%、アメリカにあるワイナリーのうち約40%が州内にありますので、重要ポイントとしてチェックしましょう。
なお、ブドウ品種は、アメリカの本格的なワイン造りの歴史が新しいだけあって、フランスなどこれまで勉強したヨーロッパの国々の品種が非常に多いです。関連付けて覚えていけば難しくはないはずです。
アメリカワインの歴史
元々アメリカ東部に自生していたブドウはヴィティス・ラブルスカ系と言われる品種がほとんどで、ヨーロッパから持ち込まれたヴィティス・ヴィニフェラ系(今日のワインブドウ品種の多くがこの系統です)との交配や品種改良によって、徐々に定着していきます。西部では、スペインの植民地化により、スペイン原産のブドウ品種が持ち込まれました。
19世紀後半にカリフォルニア州・ソノマでフィロキセラ(アブラムシの一種)が発見され、ブドウ畑が壊滅させられますが、先程のラブルスカ系を台木にする事で、ブドウ畑の再建される事になります。
また、1920年から1933年まで禁酒法が施行され、特別な許可を得たワイナリーだけが小規模ながら製造を続けていました。禁酒法廃止後、カリフォルニア大学にてワイン品質向上の研究が行われはじめ、温度コントロール付きのステンレススティールタンクがカリフォルニアで開発されています。
パリ・テイスティング
1976年に、イギリス人のスティーブン・スパリアが発起人となり、フランスとカルフォルニアのワインを比較するブラインド・テイスティングが開催されました。(パリスの審判とも呼ばれます) 結果は赤・白共にアメリカのワインが第一位を獲得しています。後に1986年、2006年にもリターン・マッチが行われ、いずれもカルフォルニアワインが上位を占める結果となりました。開催年などは出題される可能性ありです。1776年の独立年からちょうど200年後という事で覚えましょう。
あと、出題される可能性は低いですが、アメリカの二大ワイン雑誌「ワイン・アドヴォケイト」(ロバートパーカーJr)と「ワイン・スペクテーター」は一応チェックしておきましょう。
アメリカの全体像
重要度としては、まず西海岸の「カリフォルニア州」をしっかり覚えて、その後、「オレゴン州」と「ワシントン州」を覚えましょう。最後に東海岸の「ニューヨーク州」と「ヴァージニア州」ですね。
並んでいるブドウを見ても、フランスで勉強したブドウ(カベルネ・ソーヴィニョン、シャルドネ、ピノ・ノワールなど)が出ているかと思います。「このブドウってヨーロッパだとどの地域で造られているんだっけ?」と一度戻って覚えなおすのも重要ですね。
「カリフォルニア州」と「ワシントン州」はカベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネの生産量が多く、ブドウ品種が比較的似ています。一方、間に挟まれた「オレゴン州」では6割以上(64%)がピノ・ノワールである事が特徴ですね。この違いはしっかりとおさえておきましょう。
ヴァージニア州は大統領輩出数も多く、保有している農園でブドウ栽培(特にヨーロッパのヴィティス・ヴィニフェラ系)を試みていたそうです。これだけ覚えておけばヴァージニア州はほぼ終了ぐらいではありますが・・・。
アメリカのワイン法
アメリカのワイン法は1978年に制定され、アルコール・タバコ課税及び商業取引管理局(TTB)が規制、品質管理しています。※フランス、イタリア、スペインのワイン法制定年はわかりますか?
AVA(American Viticultural Areas)※米国政府認定ブドウ栽培地域
一定の地理的・気候的なブドウ栽培条件を持つとみなされるエリアの境界線を規定するものです。フランス(A.O.Cなど)やイタリア(D.O.C.Gなど)などヨーロッパのワイン法とは異なり、ブドウ品種、栽培、醸造方法を規定するものではありません。例えば、フランス・シャブリは100%シャルドネというブドウ品種で造らないといけないなどの規定がありましたが、アメリカではそこまでのブドウ品種規定などはないという事です。
また、格付けも存在しないので、AVA間の優劣は特にはありません。
産地、ブドウ品種、収穫年の表示について
これが大変ややこしいにも関わらず、ソムリエ・ワインエキスパート試験的に狙われるポイントです。注意しましょう。
特に、オレゴン州は非常に厳しいことがわかりますね。カリフォルニア州は州名以外はアメリカ全体と同じなので、「オレゴン州」は特に要チェックです。
その他
アルコール含有量とエステイト・ボトルド
・テーブルワインの場合は、アルコール度数が14度を超える場合はその旨を明示する必要があります。
・発酵の過程での「糖分添加」は禁止されています。
・酒精強化によってアルコール度数が14%~24%のものはデザートワインとして分類されます。
・「エステイト・ボトルド」とは、「生産者元詰め」を意味し、瓶詰めをするワイナリーと原料ブドウを栽培する畑が同一のAVAに位置している場合表示が可能です。つまり、すべてのプロセスを同じワイナリーで行った場合という事ですね。
ワインのタイプ
ヴァラエタル
ブドウ品種名をラベルに表示したワインの事です。
メリテージ
ボルドー原産のブドウ品種をブレンドした、ボルドータイプの高品質ワインの事です。
セミ・ジェネリック
ヨーロッパのワイン産地(シャブリ・モーゼル)がワインの銘柄に含まれている場合がありました。聞いた事のある用語を使って消費者に買ってもらおうとしたわけですね。流石にまずいという事で、今はEUとの協定により、2006年から禁止されています。但し、2006年以前に販売されていた銘柄は実際の原産地を併記することを条件に販売継続が認められています。なお、オレゴン州ではこれも認められていません。
第36回小テスト:アメリカ① 概論
第36回:アメリカ① 概論
第36回:アメリカ① 概論

最後に
アメリカはヨーロッパのワイン法とは異なり、AVAという認定栽培地域に明確なブドウ品種や醸造方法の規定がありませんが、その分州ごとに微妙に規定が異なる場合があります。まずはアメリカ全体をみて、抑えるところと流し見するところを判断していきましょう。カリフォルニア州はしっかり覚えるポイントですので、次回はカリフォルニア州についてご紹介したいと思います。
(参考)ソムリエフォーフリー
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