※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2020)」をもとにしています。
ソムリエ・ワインエキスパート試験対策
本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。
今回は南アフリカです。アパルトヘイト撤廃後、急速に国際市場でも頭角を現している国ですね。ワインツーリズムといった観光業や環境に配慮したワイン造りなども進められています。覚えるべきポイントを定めて一つずつチェックしていきましょう。ちなみに、緯度は南緯27~34度にワイン産地が位置します。
南アフリカのポイント
・有名産地(西ケープ州)は確実に覚えて、細かい部分は2週目でチェック
・「キャップクラシック」、「コンスタンシア」、「ピノタージュ」といったキーワードは必ず答えられるように
ポルトガルと同様、南アフリカも細かい部分まで覚えるとなると記憶力キャパシティに限界が訪れます。まずはおさえるところをおさえて、余裕があれば戻ってくるようにしましょう。
南アフリカの歴史
南アフリカのワイン造りは、1659年、ケープタウン最初の総領事となった「ヤン・ファン・リーベック」が始めたことがスタートとされています。1685年に、フランスでナントの勅令が廃止され、宗教迫害を受けたユグノー派が入植をはじめますが、彼らの多くがフランス・ロワール地方出身者であることからロワールで栽培されたブドウが多く持ち込まれます。
18世紀からコンスタンシア産の甘口ワイン(コンスタンシア)がヨーロッパへ輸出され、ヨーロッパ貴族に人気を博すようになります。
1918年には生産者団体「南アフリカブドウ栽培者協同組合(KWV)」が発足し、ブドウ最低価格を保証することで農家を守るとともに需給調整が進みました(ワインの寡占化が進んだという指摘もあります)。1994年にアパルトヘイトが撤廃された後は、これまで進んでいなかった国際市場への輸出が進み、質の向上が進んでいます。
1971年には、ワインツーリズムの先駆けとなる「ステレンボッシュ・ワインルート」が整備され、現在では20カ所を超える公式ルートが存在します。
南アフリカワインの特徴
環境に配慮したワイン造り
世界で最も環境に配慮したワイン生産国を意識し、ガイドライン「環境と調和したワイン生産(IPW)」を制定しており、南アフリカの95%のブドウ栽培農家がこれを遵守しているそうです。2004年には「生物多様性とワインのイニシアティブ」を提唱しています。
また、2010年ヴィンテージからは世界で初めてサスティナビリティ(持続可能性)を保証したシールを採用しています。
気候風土
南緯27度から34度にワイン産地が位置しており、穏やかな地中海性気候です。冬は冷涼で、特に西ケープ州では「ベンゲラ海流」の影響で緯度の割には冷涼です。また、春から夏にかけて「ケープドクター」と呼ばれる乾燥した風が吹き、防虫剤や防カビ剤の使用量も最小限に抑えられています。
キャップクラシック
スパークリングワインでは、フランスのシャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵」によって造られた「キャップクラシック」が近年大きな成功を収めています。以前はシュナンブランを利用したものが多かったですが、最近ではシャンパーニュを手本にシャルドネやピノ・ノワールを使ったスパークリングも多く造られています。
南アフリカのブドウ品種
白ブドウ
南アフリカを代表する品種は「シュナンブラン」で、黒ブドウと合わせても栽培面積1位です。シュナンブランといえばフランスのロワール地方ですが、ロワール地方出身者が移住してきた事が影響していると思われます。シュナンブランは「スティーン」と呼ばれる事もありますので注意が必要です。なお、シュナン・ブラン主体のブレンドを「地中海ブレンド」と呼びます。
ちなみに、2位は「コロンバール」です。
黒ブドウ
南アフリカの黒ブドウ栽培面積1位はカベルネ・ソーヴィニョンです。
また、要注意品種として、「ピノタージュ」というブドウ品種をチェックしておきましょう。ピノタージュはピノ・ノワールとサンソーの交配種で、ステレンボッシュ大学のアブラハム・ペロード博士が生み出しました。(過去に出題されています) ピノタージュを30~70%使用したブレンドは「ケープ・ブレンド」と言われます。
南アフリカのワイン法
1973年、南アフリカのワイン法(Wine of Origin : WO)が制定されました。品種名、ヴィンテージを表示するためには85%以上の当該品種、当該ヴィンテージのブドウを使用する必要があります。
一方、WOの産地名を表示するためには100%同産地内のブドウを使用する必要があるので注意です。ここもソムリエ・ワインエキスパート試験的には狙われやすいポイントです。
南アフリカの全体像
国内5つの州でワインが生産されていますが、その9割が西ケープ州に集中しています。ソムリエ・ワインエキスパート試験的にも西ケープ州の産地だけをチェックすればまずは問題ありません。
西ケープ州は5つの地域と「ボーバーグ」という酒精強化ワインに適用される地域の計6つの地域があります。上の図に書かれたキーワードは是非ともチェックしておいてください。
沿岸地域
南アフリカワイン生産の中心地です。この地域の「地区」はチェックすべきところが多いですので覚えておきましょう。
ステレンボッシュ地区
南アフリカでも最大のブドウ栽培面積を誇ります。また、ステレンボッシュ大学というブドウ栽培と醸造学の学位が受けられる大学もある地区です。7つのサブリージョンがあります。
パール地区
南アフリカワイン最大の輸出メーカーである「KWV」のホームタウンでもあります。
スワートランド地区
西ケープ州最大の「地区」です。
ケープタウン地区
南アフリカワイン発祥の地であるコンスタンシア小地区があります。
ブレード・リヴァー・ヴァレー地域
南アフリカ全体の1/3を占めるこの地域では、白品種の生産が多く、シュナンブランとコロンバールの主要産地です。
ロバートソン地区
瓶内二次発酵のスパークリング「キャップクラシック」の評価も高い地区です。古くから酒精強化ワインにも定評があります。
ウスター地区
酒精強化ワインも有名ですが、世界最大規模を誇る「KWV」のブランデー醸造所があり、ブランデーの一大産地となっています。
ケープ・サウス・コースト地域
西ケープ州最南端に位置し、冷涼な気候に恵まれています。
エルギン地区
標高が高く冷涼な気候を持つこの地区では、長らくリンゴが多く栽培されてきました。「アップルタイザー」の本社・工場もこの地区にあります。
ボーバーグ(酒精強化ワイン)
パール、フランシュック、ウェリントン、ティルバッハ産の酒精強化ワインに適用されます。
その他、クレイン・カルー地域、オリファンツ・リヴァー・ヴァレー地域もありますが、まずは上述した地域・地区をチェックしてみてください。
第47回小テスト:南アフリカ
第47回:南アフリカ
第47回:南アフリカ

最後に
日本でも見かけることが多くなった南アフリカワイン。1994年、アパルトヘイト撤廃から国際市場の進出が進み、現在では多くの国々に輸出されています。ソムリエ・ワインエキスパート試験的には西ケープ州の有名な産地(ステレンボッシュ・パール・スワートランド)を覚えて、問題を解きながら少しずつカバーしていきましょう。
(参考)ソムリエフォーフリー
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