【ソムリエ・ワインエキスパート試験/対策問題】第49回:アルゼンチン

※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2020)」をもとにしています。

ソムリエ・ワインエキスパート試験対策

 

本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。

 

今回はアルゼンチンです。2020年のソムリエ教本から大幅に改定されました。現在アルゼンチンではインフレ率上昇によってワインの国内消費が振るわず、フランスやイタリアのように国内消費量が多いアルゼンチンでは深刻な状態のようです。また、輸出についても影響を受けているようで、同価格だったワインが、スーパーに流通する時には「チリワイン480円、アルゼンチン980円」となっているそうで、厳しい状況だそうです。

 

アルゼンチンのポイント

 

・アルゼンチンワインの歴史をしっかり覚える

・ワインの分類とカテゴリを答えられるようにする

・ワイン産地と地方をセットで覚える

 

改定によって、歴史の部分とワイン分類の部分はかなり厚めに書かれております。一方、ワイン産地に関してはポイントをしっかり押さえれば効率良く覚えられるように感じています。いつもお伝えしていますが記憶力キャパシティが限界を迎えないよう、取捨選択して要点をおさえて覚えていきましょう。

 

アルゼンチンワインの歴史

伝道師によるブドウ栽培の普及

アルゼンチンのワイン用ブドウ品種は、スペインから来たキリスト教の伝道師が持ち込んだと呼ばれています。スペインの「パロミナ・ネグラ」がカナリアス諸島に渡り「リスタン・プリエト(リスタン・プリエート)」と呼ばれ、アルゼンチンではクリオジャ(クリオージャ・チカ)と呼ばれるようになりました。チリではパイス、北米ではミッションと呼ばれています。ここはセットで必ず覚えましょう。

 

アルゼンチンにブドウを運んだルートは、実は3つあると言われています。

①1540年代~1560年、ペルーからアルゼンチン北西部へ入ったグループ

②チリからアンデスを超えてアルゼンチン西部へ入ったグループ

→1561年ペトロ・デル・カスティージョがメンドーサ、1562年にフアン・フフレがサン・ファンにブドウ畑を拓いた。

③16世紀前半にスペインからアルゼンチン北東部ラプラタ川流域に到着したグループ

 

ブドウ栽培・ワイン産業の発展

1853年、政府は農事試験場をメンドーサに開設し、植物学者の「ミシェル・アイメ・プージェ」を招聘しました。プージェはマルベック、カベルネ・ソーヴィニョンなどの品種をメンドーサのブドウ畑に初めて植えました。マルベックはのちに、「ラ・フランセサ」と呼ばれるほどポピュラーな品種になります。

 

1910年になるとイタリアから移民がやってきて、北イタリアのブドウ品種を持ち込みます。特に「ボナルダ」という黒ブドウは広範囲で栽培されています。※歴史を振り返るとマルベックやボナルダというブドウ品種が何故アルゼンチンで栽培されているか理解できます。

 

1982年にカリフォルニアのロバート・モンダヴィの元で学んだイタリア系移民の「ニコラス・カテナ」は、メンドーサに戻り、1990年にカベルネ・ソーヴィニョンのヴァラエタルワインをリリースしました。

 

他に、ソムリエ教本では、11人の「アルゼンチンワイン産業の礎を築いた人物」を紹介しています。テストセンター制に移行してこの辺りも充分出題される可能性が出てきているのが恐ろしいところです。ここは正直な所、11人の内の1人である「ニコラス・カテナ」、植物学者の「ミシェル・アイメ・プージェ」、後はワインルートの2人(ペドロ・デル・カスティージョとフアン・フフレ)ぐらいをまずはおさえて、他の人物については1週目はスルーしてもいいかもしれません。余裕があれば目を通しておきましょう。

 

アルゼンチンワインの特徴

気候風土

チリとは異なり、海岸線から解く離れているため、大陸性(内陸性)気候のワイン産地です。湿気が極端に少ないことから薬剤散布の必要ない一方で、雹(ひょう)の被害があるため「アンチ・グラニソ」という名の防雹ネットを敷設しているそうです。またゾンダという強風による被害も大きいようです。

 

南緯25度のサルタから40度のパタゴニアまで広い範囲でブドウ栽培が行われています。緯度が低いところでは普通はブドウ栽培ができないですが、標高を高くすることで冷涼な条件に適応させているわけです。標高は450mから2980mにもなります。

 

アルゼンチンのブドウ品種

 

なんといってもアルゼンチンの栽培面積1位はマルベックです。フランス南西地方のAOCワイン・カオールの主要品種コットと同じものです。1853年4月17日に初めてメンドーサに植栽されたことからこの日が「マルベックデー」に制定されています。

 

2位は「セレサ」というリスタン・プリエトの亜種と考えられている果皮がピンクのブドウです。白ワインや色の淡いロゼワインになります。3位には北イタリアから持ち込まれた黒ブドウ品種の「ボナルダ」です。

 

ちなみに、トロンテスメンドーサでは白ブドウトップの栽培面積ですが、全体では8位ですね。①トロンテス・リオハーノ、②トロンテス・サンファニーノ、③トロンテス・メンドシーノという3つの亜種があります。

 

アルゼンチンのワイン法

 

1959年にアルゼンチンワインに関する法律が公布されています。次の6カテゴリに分類しています。

 

ワインの分類

a. ビノス・ヘヌイノス

新鮮なブドウや果汁をアルコール発酵したスティルワインです。

b. ビノス・エスペシアレス

3つのタイプがあります。アルコール分が少し高いワインというイメージで覚えるぐらいでしょうか。

(カテゴリーA)アルコール分が12.5%以上、潜在アルコールが15°GL以上のもの。

(カテゴリーB)醸造工程で、ブドウで造ったアルコールを加えた結果、アルコール分が15%以上のワイン。

(カテゴリーC)ワインに濃縮果汁やブドウで造ったアルコールを加えて、潜在アルコールが15°GL以上のもの。

c. ビノス・エスプモソス

ボトルなどの密閉容器で二次発酵したスパークリングワイン(エスプ→泡をイメージしましょう)

d. ビノ・ガシフィカド

スティルワインにガスを注入したスパークリングワイン。(ガシ→ガスをイメージしましょう)

e. ビノ・コンプエスト

ワインに芳香物質や甘味を加えたもので、ヴェルモットやキニーネ、トニックなど。(混成酒の「コン」などでイメージしましょう)

f. チチャ

アルコール発酵途上の甘いワイン。ペルーやボリビアのチチャは有名ですね。

 

産地名称保護

産地名称保護としては、DOC、IG、IPの3つに分けて品質管理を行っています。

 

①DOC(デノミナシオン・デ・オリヘン・コントロラダ)

2005年「DOCルハン・デ・クージョ(メンドーサ)」、2007年に「DOCサン・ラファエル(メンドーサ」の2つだけです。

 

②IG(インディカシオン・ヘオグラフィカ)

特徴のある限定された産地名を表示できます。ブドウ品種は規定されたものしか使用できません。特に、ロゼワインは「ゲヴェルツトラミナー」の使用に限られます。

 

③IP(インディカシオン・デ・プロセデンシア)

当該地のブドウを80%以上使用していれば産地名を表示できます。ブドウ品種の規定はありません。

 

なお、輸出市場向けワインは、基準をEU規則に合わせているので品種と生産年は85%以上当該品種、収穫年のブドウを使用していれば表示が可能です。※チリも輸出向けワインは「85%ルール」でしたね。

 

熟成規定

レセルバ

オーク樽で最低1年熟成した赤ワイン最低6ヶ月熟成した白ワインに表示可能。

グラン・レセルバ

オーク樽で最低2年熟成した赤ワイン最低1年熟成した白ワインに表示可能。

 

チリは若干複雑でしたが、アルゼンチンはシンプルです。間違えないようにしましょう。

 

スパークリングワインの表示

 

ドザージュによって認められている表示が異なります。ヨーロッパの国々のスパークリングワインの基準とは異なりますので注意しましょう。

 

アルゼンチンの全体像

アルゼンチンのワイン栽培地域は、3つの地域で分けることで理解が容易となります。最も重要なのは中央部のクージョ地方です。アルゼンチンだけでなく南アメリカとしても生産量が最大であるこの地方はメンドーサとサンファンをチェックしてください。

 

また、北部(ノルテ地方)は「カファジャテ」と「カルチャキ・ヴァレー」そして標高が高い。一方、南部(パタゴニア地方)は、「リオ・ネグロ」と標高が低い。という事を覚えておきましょう。南部は冷涼な気候のため、ソーヴィニョン・ブランやピノ・ノワールの栽培が盛んで、ピノ・ノワールのスパークリングワインも注目されています。

 

要注意ポイントである中央部の産地について以下、ご紹介します。

①メンドーサ(栽培面積1位)

栽培面積がアルゼンチン全体で約7割を占める産地です。黒ブドウはマルベックやボナルダ、白ブドウではトロンテスが最も多い栽培品種です。

 

メンドーサの栽培地域は5つのサブリージョンに分類されます。

1.メンドーサ北部

2.メンドーサ川流域(ルハン・デ・クージョ)

3.ウコ・ヴァレー

4.メンドーサ東部

5.メンドーサ南部(サン・ラファエル)

 

②サン・ファン(栽培面積2位)

1.トゥルム・ヴァレー(ボナルダが主要品種

2.ソンダ・ヴァレー(タナが主要品種

3.ペデルナル・ヴァレー(冷涼で新しい産地)

 

 

第49回小テスト:アルゼンチン

 

第49回:アルゼンチン

第49回:アルゼンチン

 

最後に

 

海岸線が近いチリとはまた違った特徴を持つアルゼンチンワイン。マルベックやボナルダといった黒ブドウ、トロンテスといった白ブドウが特徴ですので是非とも覚えておきましょう。繰り返し問題を解くことで身につけていきましょう。少し時間が経ってから小テストをするのもおススメです。

 

 

(参考)ソムリエフォーフリー

 

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