※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2020)」をもとにしています。
ソムリエ・ワインエキスパート試験対策
本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。
今回はオーストリアです。オーストリアは生産量の約8割(81%)が国内消費される地産地消型の生産国です。また、農地総面積の約2割強がオーガニックというヨーロッパ最高比率のオーガニック農業国でもあります。
オーストリアのポイント
・ワイン法や用語についてドイツとの類似点、相違点について理解する(今回)
・オーストリアの3つの栽培地方の特徴を掴み、各地域の特徴をみて答えられるようにする(次回)
気候風土
オーストリアは大陸性気候で降水量が少ないため、ドイツと比べて温暖です。その為厚みのあるワインが造られています。北緯は47度から48度で、フランスのブルゴーニュ地方とほぼ同じです。
ホイリゲ
オーストリアの重要ワードです。「ワイン生産者兼居酒屋」を意味します。ワイン生産の段階から食と共にあるのがオーストリアの特徴で、ワイン製造業と飲食業がほぼ完全に分離している他国とは違った特徴がみられます。ちなみに、「ブッシェンシャンク(居酒屋を意味します)」というワードも覚えておきましょう。
オーストリアワインの歴史
5000年前から1万年前にブドウはドナウ渓谷を通って到達したとされます。1524年、ルスト産ワインの樽に「R」の文字を記して売る特典が与えれ、原産地呼称の先駆けとなりました。
18世紀にはマリア・テレジアと息子・ヨーゼフ2世の統治下でワイン生産が奨励され、国民に対して「食糧、ワイン、ジュースなど1年を通じていつでも望む価格で販売、提供できる権利」が与えられます。これがオーストリアのブッシェンシャンク・ホイリゲ文化の開花を導くきっかけとなります。
1860年、「フライヘア・フォン・バボ」が世界最古の醸造学校である学校と研究所をクロスターノイブルグ修道院に開設します。また、1907年にはオーストリア最初のワイン法が制定されます。
オーストリアのワイン法
ワインの分類はドイツに非常に似ていますが、以下の点に大きな違いがあります。
・原産地呼称保護ワイン(g.U.)は4つのカテゴリ
・カビネットはプレディカーツヴァインに含まれない
・果汁糖度基準は、エクスレ度ではなく「KMW糖度」を用いる
また、ラントヴァイン(g.g.A.)と原産地呼称保護ワイン(g.U.)では、40の認可品種のみが使用を許されています。
なお、ルストという都市で造られる「トロッケンベーレンアウスレーゼ」のみ「アウスブルッフ」と呼ばれます。注意しましょう。
KMW糖度
ワインを造る前の果汁糖度の単位として、KMW(クロスターノイブルガーモストヴァーゲ)を用いています。1869年にフライヘア・フォン・バボが開発した糖度単位です。
DAC(Districtus Austriae Controllatus)
2002年ヴィンテージ以降、品種と糖度に基づくドイツ分類に加えて、原産地に基づくラテン式分類(AOCやDOCGのようなもの)を積極的に推奨しています。これをオーストリアではDAC(Districtus Austriae Controllatus)と呼んでいます。
その他用語
リート(畑)
法的に規定された単一畑から生まれるワインは畑を意味する「リート」をつけて表記します。これはワイン名と畑名を混同しないようにするためです。
ベルクヴァイン
斜面が26%を超える急斜面に植えられたブドウ樹のブドウを原料としたワインです。オーストリアワインに伝統的に認められている表記です。
シュトリュム
すぐに飲用されるべく販売される、部分的に発酵したブドウ果汁です。
ペアルヴァイン
密閉容器内で20度の時に1バール以上2.5バール以下の炭酸ガスを含んだワインです。ドイツには「パールヴァイン」というものがありましたね。
シャウムヴァイン
発酵からもたされる炭酸ガスを含んだ発泡ワインです。瓶内二次発酵以外の、アンセストラル法やシャルマ法でもOKです。
オーストリアのブドウ品種
オーストリアでは「グリューナー・ヴェルトリーナー」や「ブラウフレンキッシュ」といった優れた地場品種を擁する国でもあります。
白ブドウ
白ブドウでは、「グリューナー・ヴェルトリーナー」がトップです。オーストリアでは栽培面積の2/3を白ワイン品種が占めていますので、黒ブドウと合わせてもトップです。
黒ブドウ
黒ブドウでは、「ツヴァイゲルト(ブラウアー・ツヴァイゲルト、ロートブルガー)」がトップです。ツヴァイゲルトは、「ザンクト・ラウレンとブラウフレンキッシュ」を交配させてつくられた品種です。黒ブドウ2位は「ブラウフレンキッシュ(フランコフカ)」です。※ブラウフレンキッシュはドイツでは何と呼ばれていたでしょうか?
ちなみに、ザンクト・ラウレントはピノ・ノワールの血縁ともいわれています。
PIWI品種(耐カビ性品種)
気候変動がもたらず病害への対処、自然農法への貢献、労働環境の改善といった点で注目されている品種で、認可40品種の中では白ブドウ品種はブリューテンムスカテラー、ムスカリス、ソーヴィニエ・グリ、黒ブドウはラータイ、レースラーが該当します。(あまり聞いたことが無い品種だなというイメージぐらいで答えられるかも)
オーストリアン・ゼクトg.U.
オーストリアの発泡ワインのうち、条件を満たした原産地呼称保護ワインは「オーストリアン・ゼクトg.U.」と呼ぶことができます。※オーストリアン・ゼクトg.U.は略称ですが、正式名称はここでは割愛します・・・
このオーストリアン・ゼクトg.U.には3段階の品質分類があります。各レベルには細かい区分がありますが、大きな違いについて記載します。
Level1: Klassik(クラシック)
単一州内で収穫、全てのスパークリング製法が許され、最低9ヶ月澱に触れて熟成。
Level2:Reserve(レゼルヴェ)
単一州内で手摘みで収穫、製法は瓶内二次発酵のみ、最低18ヶ月澱に触れて熟成。
Level3:Große Reserve(グローセ・レゼルヴェ)
単一地域内で手摘みで収穫、製法は瓶内二次発酵のみ、最低30ヶ月澱に触れて熟成。
第53回小テスト:オーストリア① 概論
第53回:オーストリア① 概論
第53回:オーストリア① 概論

最後に
まずはオーストリアの概論についておさえましょう。ドイツと合わせて勉強することで類似点と相違点について理解できてくると思います。いつもお伝えしますが読むだけでは暗記は難しいので繰り返し問題を解くことで身に着けていきましょう。次回はオーストリアの産地についてご紹介していきます。
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