※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2020)」をもとにしています。
ソムリエ・ワインエキスパート試験対策
本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。
今回はスイスです。スイスはEU非加盟国ですが、イタリア、ドイツ、オーストリアなどの隣接国の影響を受ける多文化国家です。北緯45から47度、標高が375~1100mにブドウ畑が広がるスイスでは、産地ごとに豊かな個性が表現されています。
スイスのポイント
・フランス語圏、ドイツ語圏、イタリア語圏に分けて産地をチェックする
・特にフランス語圏の産地については細かくチェックしておく
スイスのワイン生産量はスイス・ロマンドというフランス語圏に集中しています。特に第1の産地・ヴァレー、第2の産地・ヴォーについては必ず覚えておきましょう。
スイスワインの歴史
紀元前58年、ローマ軍のジュリアス・シーザーがスイスに進行し、各地にブドウ栽培とワイン醸造を広めたと言われています。(スイスの先住民族もワイン造りを行っていたという説もあるが記録はない)
812年にカール大帝(ドイツでも出ましたね)が推進した農業振興政策により、ワイン造りの技術も進歩し、面積も拡大します。10~12世紀にかけて各地の領主がブドウ畑を支配、城館を建ててワイン造りを行います。国土の7割をアルプス山脈とジュラ山脈が占めるスイスでは急斜面を切り開いてブドウ畑が整備されていきました。
なお、スイスのワイン栽培地は主に「スイス・ロマンド(フランス語圏)」、「スイス・アルモンド(ドイツ語圏)」、「スイス・イタリエンヌ(イタリア語圏)」という3つの言語圏に分かれています。
スイスの特徴的なブドウ品種
スイスのワイン比率は赤50%、白49%、ロゼ1%(2018年度)と赤と白の比率がほぼ半分です。
黒ブドウ
黒ブドウの栽培面積トップは「ピノ・ノワール(ブラウブルグンダー)」で、黒ブドウ栽培面積の約4割を占めます。フランス語圏ではピノ・ノワール、ドイツ語圏ではブラウブルグンダーと言われます。
白ブドウ
白ブドウの栽培面積トップは「シャスラ」で、白ブドウ栽培面積の約6割を占めます。
スイスのワイン法
スイスワインでは、3つのカテゴリーに分かれています。
1. Vins Appellation d’Origine Contrōlée (A.O.C)
2. Vins de pays
3.Vins de table
A.O.Cはスイス全土で62あります。フランス語圏、ドイツ語圏、イタリア語圏で白ブドウ・黒ブドウそれぞれ、収穫量と糖度の基準が違います。また、2. Vins de paysと3.Vins de tableにも収穫量と糖度の基準があります。(収穫量と糖度に関しては全て覚えるのは大変です。私は全く覚えませんでした。ただCBT(テストセンター)方式に変わってからは、絶対に出題されないとは言えなくなったので、余裕があれば・・・)
スイスの全体像
スイスのワイン産地は、3つの言語圏で覚えるのが効率的です。特にフランス語圏(スイス・ロマンド)は全体の8割を生産していることから出題頻度としても高い産地です。
1. スイス・ロマンド(フランス語圏)
ワインの生産量としてはスイス全体の80%を占めます。覚えるべき産地が多いですので、まずはスイス・ロマンドの産地をチェックするようにしましょう。
ヴァレー
ローヌ川沿いに広がる、スイス最大のワイン産地です。代表的なブドウ品種は辛口白のファンダン(シャスラのこと)、甘口白のヨハニスベルグ(シルヴァーナーのこと)、赤のピノ・ノワールがあります。
特に赤ワインの「ドール」を覚えておきましょう。ドールではピノ・ノワールとガメイの使用が85%以上と定められています。また、デザートワインの「フレトリ」もヴァレー州の名産品です。
また、グラン・クリュには12の地域とブドウ品種が指定されています。12の地域については以下ご紹介しますが、1週目はスルーしても良いかもしれません。(私は直前に詰め込みましたが結局出題されませんでした・・・)
・Chamoson(シャモソン)
・Conthey(コンテ)
・Saviēse(サヴィエーズ)
・Saillon(サイヨン)
・Salgesch/Salquenen(サルゲッシュ/サルケニャン)
・Sierre(シエール)
・Saint-Lēonard(サン・レオナール)
・Visperterminen(フィスパーテルミネン)
・Vētroz(ヴェトロ)
・Ville de Sion(ヴィル・ドゥ・シオン)
・Fully(フュリー)
・Leytron(レトロン)
※頭文字がC,S,Vが多いです
ヴォー
レマン湖の周囲に広がるスイス第2のワイン産地です。シャスラが生産量の60%を占めます。また、ラヴォー地区は2007年にユネスコの世界文化遺産に認定されています。
ジュネーヴ
ジュネーヴ郊外の田園地帯に広がります。シャスラ(ジュネーヴではペルランと呼ばれる)とガメイが中心に栽培されています。
ヌーシャテル
ピノ・ノワールから造られるロゼワイン「ウイユ・ド・ペルドゥリ」発祥の地です。このAOCワインはヌーシャテルとセットで覚えておきましょう。
ジュラ
フランス語圏で最も小さな産地です。赤ワインではピノ・ノワールの他にカベルネ・ジュラという交配種も産出されています。
2. スイス・アルモン(ドイツ語圏)
国土面積としてはスイス全体の2/3を占めますが、ブドウ栽培面積はそこまで多くなく、スイス全体の15%程(2018年度)です。産地としては非常に細かいので、キーワードで出題されそうな産地だけを紹介したいと思います。
ベルン(西地区)
ヌーシャテルの東側にあるビール湖周辺とスイスの首都ベルンの南にあるトゥーン湖周辺の2つに分かれています。
トュルガウ(中央地区)
ブドウ品種であるミュラー・トュルガウは、19世紀にここトュルガウ出身のヘルマン・ミュラー博士によって育種・開発されました。
3. スイス・イタリエンヌ(イタリア語圏)
1907年にアメリカの台木にフランスのメルロを接木したことで、現在は栽培品種の85%がメルロです。ワイン生産量はスイス全体の5%程(2018年度)です。
ティチーノ
スイスとイタリアの文化が融合されたティチーノ地方。主要ブドウ品種はメルロです。
第55回小テスト:スイス
第55回:スイス
第55回:スイス

最後に
スイスはフランス、イタリア、ドイツ言語圏の3つで考えると効率良く覚えられると思います。特にフランス語圏の産地はソムリエ・ワインエキスパート試験としても出題されますので、チェックしておきましょう。
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