【ソムリエ・ワインエキスパート試験/対策問題】第56回:ギリシャ

※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2020)」をもとにしています。

ソムリエ・ワインエキスパート試験対策

 

本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。

 

今回はギリシャです。財政難でブドウ栽培が衰退する中、約300の土着品種が生き延び、注目を集めています。ギリシャは島も多いですので全てを完璧に覚えようとすると大変ですが、ポイントをおさえつつ問題を解きながら覚えていきましょう。

 

ギリシャのポイント

 

・ギリシャの土着品種をチェックする

・産地は大きく分けて覚えてから、各産地毎の特徴をおさえる

 

ギリシャのワイン産地は北緯34~41.5度に広がっています。ベースは地中海性気候ですが、北部のマケドニア、中央ギリシャ、ペロポネソス半島では大陸性気候の影響を帯びています。

 

また、ギリシャは小規模生産者が多い事が特徴です。ギリシャワインの大半は国内で消費される為、輸出の割合が生産量の約13%とまだまだ多くはありません。

 

なお、ギリシャ料理は2010年にイタリア料理、スペイン料理、モロッコ料理と共に「地中海の食事」としてユネスコ無形文化遺産にも登録されています。

 

ギリシャワインの歴史

 

東マケドニアの「ピリッポイ」で紀元前4000年代後半にはブドウ栽培とワイン造りが行われていたそうです。紀元前8世紀半ばから都市国家が形成されはじめます。ギリシャ神話での酒の神ディオニュソスは後にローマ神話でバッカスと呼ばれるようになります。

 

「シンポジア」と呼ばれる古代ギリシャ人の社交場では、ワインを飲みながら哲学的なテーマを話し合っていたそうで、そこでワインをサービスしたのが「エノホイ」と呼ばれる人々で、ソムリエの原型であると言われています。エノホイはワインを水で割ったものを「カンタロス」「キュリクス」と呼ばれる杯に注ぎました。

 

紀元前338年にアレキサンダー大王率いるマケドニア軍が支配しますが、彼はブドウ栽培とワイン生産を奨励します。その後、ローマ時代、ビザンチン時代を経て、イスラム教徒のオスマン帝国に支配されるようになります。ただ、支配下のギリシャ人には税金を課すかわりにブドウ栽培やワイン醸造を認めていたそうです。

 

近年では、1971年にフランスを手本とした原産地呼称制度が導入され、本格的なワイン生産国として歩みだします。20世紀最後の10年間には「新ギリシャワイン・リバイバル」と呼ばれる動きが起き、小規模生産者が土着品種と国際品種のワイン造りを輸出向けに洗練させました。

 

ギリシャの特徴的なブドウ品種

ギリシャは土着品種の宝庫で、約300品種存在すると言われます。ワイン生産量の約90%が土着品種であり、国際品種は10%に留まっています。ソムリエ教本ではページを割いて土着品種の特徴が記載されます。CBT(テストセンター)方式に移行してからは出題されてもおかしくなくなりましたので、(本当に)余裕があれば特徴をチェックしておきましょう。(あくまで余裕があればです・・・)

 

また、赤と白の構成比は62:38と白ワインの方が多いことが特徴です。

 

黒ブドウ

黒ブドウ栽培面積トップは「アギオルギティコ」です。主にネメア地域で栽培されています。アギオルギティコという名前は、このブドウ品種から造られるペロポネソス半島のPDO・ネメアが、かつて「Agios Georgios(聖ゲオルギオス)」と呼ばれていた事に由来するそうです。

 

他に代表的な黒ブドウ品種をご紹介します。

リアティコ:黒ブドウ栽培面積2位で、クレタ島の品種

クシノマヴロ:ギリシャを代表する黒ブドウ品種。クシノ=酸、マヴロ=黒という意味です。

 

白ブドウ

白ブドウ栽培面積トップは「サヴァティアノ」で、白ブドウ・黒ブドウあわせてもトップです。松脂(まつやに)ワインと呼ばれるレッツィーナの主要品種です。

 

他に特徴的な白ブドウ品種をご紹介します。

ロディティス:白ブドウ栽培面積2位

アシルティコ:白ブドウ栽培面積3位で、サントリーニ島(キクラデス諸島)の主要品種

スラプサシリ:クレタ島の最も重要な品種の一つ

ヴィラナ:クレタ島の最も重要な品種の一つ

 

ギリシャのワイン法

他のEU諸国と同じくEUのワイン法に従った原産地呼称制度を用いています。4つのカテゴリに分かれますが80%がPDOとPGIに属しています。これまで勉強されてきた方は、そこまで覚えることがないと思います。

 

1.PDO

Protected Designation of Origin。官能評価による品質チェック、規定範囲内のブドウ使用、醸造方法が定められています。フランスのAOCをイメージしてください。

2.PGI

Protected Geographical Indication。テーブルワインの中で、規定された原産地を表示できます。規定範囲内のブドウを85%以上使用する決まりです。※これも大丈夫ですね。

3.Varietal wines

テーブルワインの中で、同一品種を75%以上使用し、一定基準を満たしたワインは品種名とヴィンテージを表記できます。

4.Table wines

3つのいずれにもあてはまらないワインで、ヴィンテージ、品種、統制原産地名をラベルに表記できません。

 

Traditional Designation(トラディショナル・デジグネーション)

上記の格付けとは別にギリシャの歴史的な価値を持つと認められたワインに表記されます。

レッツィーナ

松脂の香りがついた白ワインで、サヴァティアノが主要品種です。ワインの劣化を防ぐために、アンフォラという容器の口と蓋の間に松の樹脂をぬって密封したことから独特の風味がワインにつき、それがレッツィーナと呼ばれるようになりました。今は松の樹脂をティーバッグのような袋に入れて醸造しています。

 

ヴェルデア

イオニア海にあるザキントス島の伝統的ワインです。

 

ヴィン・リアストス

遅摘みのブドウを1~2週間天日干しして造る甘口ワインを呼びます。

 

ギリシャの全体像

 

まずは上記の地図をみていただき特徴をチェックしてください。まずは上記キーワードをチェックするぐらいでいいかとは思います。

 

要チェックなのは北部マケドニア地方の「ナウサ」とペロポネソス半島の「ネメア」。この2つはブドウ品種含めて絶対に間違えないようにしましょう。

 

ナウサ(マケドニア地方のPDO)

1971年にギリシャで初めて原産地呼称の認定を受けた産地です。クシノマヴロ単一品種によるアペレーションで、長期熟成タイプの赤ワインやロゼのスパークリングが造られます。

 

マケドニア=ナウサ=クシノマヴロです。

 

ネメア(ペロポネソス半島のPDO)

単一品種から造られる赤ワインとしてはギリシャ最大のアペレーション。アギオルギティコから造られる赤ワインで、ヘラクレスがネメアに住む恐ろしい獅子を退治した神話にちなみ、「ヘラクレスの血」とも呼ばれます。

 

ペロポネソス=ネメア=アギオルギティコです。

 

次に、島のおおそよの場所と名前を確認しておきましょう。過去ソムリエ・ワインエキスパート試験では「ギリシャの最大の島は?」という問題が出題されていましたが、CBT(テストセンター)方式に移行してからこういうワインとは関係ない問題が増えています。注意しましょう。

 

第56回小テスト:ギリシャ

 

第56回:ギリシャ

第56回:ギリシャ

 

最後に

 

ギリシャでは、どの地方のPDOなのかという事を意識して問題を解きながら覚えていきましょう。特に、出題される可能性が高い「ナウサ」と「ネメア」という2つのPDOの特徴やブドウ品種を間違えないようにする事が大事です。

 

 

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