※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2020)」をもとにしています。
ソムリエ・ワインエキスパート試験対策
本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。
今回はスロヴェニアです。1991年に旧ユーゴスラビア北部から独立した国でイタリアの東部に隣接する国です。緯度は北緯45.5度から47度とフランスのボルドーとほぼ同じです。また、生産者の9割が畑面積1ha以下の小規模生産者であることが特徴です。
スロヴェニアのポイント
・3つの地域(プリモルスカ、ポドラウイエ、ポサウイエ)と特徴に目を通しておく
・ワイン法を確認しておく(他のヨーロッパの国々と混同しないように)
・歴史、ブドウ品種はざっくりと
スロヴェニアのワイン産地は主に3つの地域に分かれており、この産地の特徴をおさえて答えられるようにしておきましょう。歴史やブドウ品種に関しては、ソムリエ教本でも他の国々と比較してそこまで詳細に書かれていないので、どちらかというと産地を問われる可能性が高いように思います(あくまで個人の見解ですが)。
スロヴェニアワインの歴史
この地域では紀元前6世紀頃には既にギリシャから栽培・醸造技術が伝わり、独自のワインを造っていたと言われています。6世紀にスラヴ民族の移住によってワイン生産はほとんどなくなってしまいましたが、少しずつ再開されて14世紀のオーストリア・ハンガリー帝国の下で大きく発展します。
なお、北東部にあるスロヴェニア第2の都市マリボールにはギネスブックにも認定された樹齢500年というブドウの樹が残っているそうです。
スロヴェニアの特徴的なブドウ品種
スロヴェニアでは単一品種のブドウから造るワインが主流で、68%が白ワインと白ワインが多いことが特徴です。国際品種と土着品種合わせて48種類の品種が栽培されていて、栽培面積トップの品種は「ラシュキ・リーズリング」、2位が「レフォシュク」という品種です。
スロヴェニアのワイン法
地理的条件からフランス、イタリア、ドイツの影響を受けていますが、これらの国より厳しい面もあります。収穫時にワイナリー側がどのクラスにするかを決めて申請し、醸造したものをワイン生産協会が試飲検査を行います。
なお、全ワインの約7割がPDOですが、スロヴェニアで古くから使われてきたZGPとして販売される事が多いそうです。ZGPは2種類あるので注意しましょう。
P.D.O.(原産地呼称保護)
Kakovostno vino ZGP (カコヴォストノ・ヴィノ ZGP)
統制保証原産地産「上級」ワインです。3地域(プリモルスカ、ポドラウイエ、ポサウイエ)の中の9地区が統制保証原産地に指定されており、このいずれかの地区のブドウを100%使用し、規定のブドウ品種、醸造方法で生産しなければなりません。補糖も禁止されています。ワイン生産者協会による総合評価点が16.01ポイント以上、18.01ポイント未満のものです。
Vrhunsko vino ZGP (ヴルフンスコ・ヴィノ ZGP)
統制保証原産地産「最上級」ワインです。カコヴォストノ・ヴィノと同様の基準ですが、更にワイン生産者協会による総合評価点が18.01ポイント以上です。
さらに、遅摘みや貴腐化したブドウによるワインは次のプレディカートを併記する事ができます。
・ポズナ・トゥルガテウ=シュペートレーゼ(エクスレ度92以上)
・イズボール=アウスレーゼ(エクスレ度105以上)
・ヤゴドニ・イズボール=ベーレンアウスレーゼ(エクスレ度128度以上)
・スヒ・ヤゴドニ・イズボール=トロッケンベーレンアウスレーゼ(エクスレ度154度以上)
・レデノ・ヴィノ=アイスワイン
ポイントとしては、①ドイツと同じようにエクスレ度を基準としてプレディカートワインがある事と②「イズボール」の前の単語がどんどん増えていくと同時に糖度(エクスレ度)も増えていく事を把握していく事です。
PTP (Posebno tradicionalno poimenovanje)
統制保証原産地産の「伝統的な」ワインです。以下の4つがあります。※ポドラウイエ地域はないです
・プリモルスカ地域:クラスの「テラン」
・ポサウイエ地域:ドレニスカの「チヴィチェック」
・ポサウイエ地域:ベラ・クライナの「メトリシュカ・チュルニナ」と「ベロクラニエック」
P.G.I(地理的表示保護)
Deželno vino PGO (デジェウノ・ヴィノ PGO)
地理的表示ワインです。3地域(プリモルスカ、ポドラウイエ、ポサウイエ)のいずれか1地域のブドウを85%以上使用したワインで原産地を表示できます。ワイン生産協会による総合評価点が14ポイント以上16.01ポイント未満のものです。
スロヴェニアの全体像
3つの地域の特徴を掴んでおきましょう。プリモルスカ地域はアドリア海が近い事もあり、比較的温暖な気候で赤ワインの生産量も多いです。
また、最大の生産地域であるポドラウイエ地域はハンガリーにも近い事からシポン(フルミント)の栽培も行われています。
さらに、クロアチアに近いポサウイエ地域では、単一品種ワインが多いスロヴェニアでは珍しく、複数のブドウがブレンドされる事が多いです。
隣国との関係性をみながら頭に入れていく事で効率的に覚えていくことができるかと思います。
第61回小テスト:スロヴェニア
第61回:スロヴェニア
第61回:スロヴェニア

最後に
スロヴェニアは1991年旧ユーゴスラビアから独立した比較的新しい国家でもあり、恥ずかしながらソムリエ・ワインエキスパート試験で勉強して初めてイタリアやオーストリアと近いという事がわかりました。ヨーロッパの国々の位置関係をみながら勉強すると効率的でもあり勉強にもなるのでおススメです。
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