※本ブログの問題は一般社団法人日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本(2020)」をもとにしています。
ソムリエ・ワインエキスパート試験対策
本記事では、ソムリエ・ワインエキスパート試験にて出題されそうな問題について小テスト形式でご紹介します。何度も問題を繰り返すことで、身についていくと思いますので、コツコツと一つずつクリアしていきましょう。また、選択肢に表示されている単語で、知らない単語などがあればそちらもチェックしておきましょう。
今回は、「北陸、関東、東海、近畿、中国・四国、九州」についてまとめたいと思います。日本は、様々な地域でブドウ栽培・ワイン醸造が行われており、日本ワインの多様性を生む要因となっています。各産地毎の特徴を知ることで普段のワイン選びも楽しくなりますね。
6.新潟県(北陸)
概要
日本ワインの父・川上善兵衛による岩の原葡萄園創設など、日本のワイン産業の発展に多大な貢献をしてきた新潟県。ワイナリーが集中した一帯を生産者達が「新潟ワインコースト」と称するなど産地化の動きもあります。
ブドウ品種
長野県と同様、赤ワイン用品種の生産比率が白ワイン用品種よりも高いです。生産数量の1位、2位をシャルドネ、メルロという欧・中東系品種(ヴィニフェラ種)が占めるという日本では珍しい県ですね。川上善兵衛が交配品種を多く開発したのに対し、生産量ではシャルドネ、メルロが多いという点に注意しましょう。
歴史
1884年に白根地区で取り組みが始まったという記録が残っています。その後、川上善兵衛が自宅の庭園をブドウ園にかえ、多くの交配品種を育てました。1893年に「岩の原葡萄園」を創業します。
2004年以降の日本ワインブームの影響を受け、ワイナリー設立が活発化します。
産地
胎内市、新潟市南区、南魚沼市(お米で有名)、上越市、新潟ワインコーストが主要産地です。上越市の岩の原葡萄園(川上善兵衛が創業)はマスカットベーリーAが生まれた土地として今もこの品種を中心としたワイン造りが行われています。
北陸その他
富山県、石川県、福井県にワイナリーがあります。富山県氷見市では鮮魚の仲卸問屋が設立したワイナリーがあり、2017年にシャルドネワインが日本ワインコンクールで金賞を受賞し、注目を浴びました。
7.関東
関東の7都県全てにワイナリーがあります。日本ワインの生産量としては1位「栃木」(全国では11位)、2位「埼玉」で他はかなり生産量は少ないです。栃木県内ワイナリーで育てられたリースリング・リオンのスパークリングワインは、沖縄サミットの晩餐会に使用されました。
8.東海
ただ4月から10月の降水量は1000mmを超えるため気象条件としては厳しいですが、日本ワインブームの影響を受けて、愛知、静岡、三重で新しいワイナリーが立ち上がっています。愛知県豊田市では特区制度を利用して設立したワイナリーが、静岡では観光施設の一貫として設立したワイナリーが、三重県では廃校を利用して「ワインづくりプロジェクト」がスタートしています。
9.大阪(近畿)
概要
日本でも有数の長い歴史を持つ産地です。安土桃山時代からブドウ酒のようなものが造られていたという記録もあります。
ブドウ品種
ワイン原料としての醸造量最多は「デラウェア」です。大阪の日本ワインの約3分の1を占めます。また、安土桃山時代に栽培されていたブドウは甲州ではなく「紫ブドウ」だと考えられているそうです。(一方、紫ブドウと甲州は同じか非常に近い品種であるという説もあります)
歴史
安土桃山時代に富田林村(現在の富田林市)の農家の軒先で栽培したブドウから造るブドウ酒が名産だったという記録が残っています。本格的なワイン造りは大正時代からで、果樹園を営んでいた高井利三郎が1914年にワイナリーを立ち上げました。1928年から10年間は大阪府は日本一の栽培面積を誇るブドウ産地でした。
その後ブドウ栽培面積が激減しますが、2004年以降の日本ワインブームを受けて、2013年には大阪市の街中にワイナリーを設立。また、同年に「大阪ワイン」のブランドを守るために「大阪ワイナリー協会」が設立されました。
近畿その他
大阪以外では京都、兵庫、滋賀にワイナリーがあり、中でも兵庫は2017年データでは大阪を生産量でも上回っているそうです。
10.中国・四国
中国・四国共に各県でワイナリーが設立されています。岡山県ではテラロッサ(石灰岩が風化した赤土)という日本では極めて珍しい土壌をいかしたドメーヌ型ワイナリーがあります。島根県は甲州の生産量が多いです(もちろん山梨県がダントツですが)。
11.九州
概要
九州の日本ワインの大半は宮崎県(全国8位)で、県内のブドウで醸造されます。2位は大分県です。
ブドウ品種
九州でワイン醸造量が最多なのは「キャンベル・アーリー」です。岩手県とのほぼ同じ量で、大半を宮崎が占めます。
歴史と産地
九州は前々回の概論でも紹介した「2018年熊本大学永春文庫センターが発表した小倉藩の日次記録」はチェックしておきましょう。これによると、全国初の本格的ワイン造りが1627年には福岡県で行われていた事になります。※これは出題される可能性が高いですね
福岡県では、1905年に川上善兵衛の岩の原葡萄園などから欧州系のブドウ品種を導入して栽培に取り組みました。九州初のワイナリーも福岡県で1972年に設立されています。
宮崎県では、1950年に永友百二が山形県のキャンベル・アーリーの苗を入手して栽培を始めたのがブドウ栽培の始まりです。現在の主なブドウ栽培地は都農町と小林市(観光農園中心)です。
大分県では、1960年代の総合開発パイロット事業の一環で、安心院(あじむ)町にブドウ園が開園しました。事業により当初栽培面積が西日本一になるほどだったそうです。現在主にワイン用ブドウ栽培は安心院町と竹田市で行われています。
第69回小テスト:日本④ 日本のワイン産地3(北陸、関東、東海、近畿、中国・四国、九州)
第69回:日本④ 日本のワイン産地3(北陸、関東、東海、近畿、中国・四国、九州)
第69回:日本④ 日本のワイン産地3(北陸、関東、東海、近畿、中国・四国、九州)

最後に
今回で日本の産地紹介は終了です。ソムリエ・ワインエキスパート試験の出題範囲としては大半が終了しています。後はチーズ、日本酒などの項目が残っていますので、次回からご紹介していきたいと思います。
(参考)ソムリエフォーフリー
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